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高度外国人材の採用・活躍に向けて

受け入れにおける準備・手続き

外国人材を受け入れる組織作り

日本で働く外国人は約172万人、雇用する事業者数は26万か所を超えており、最近では外国人材が働く組織は珍しくありません。 一方で外国人を職場に迎えるにあたり、組織としての準備や体制が不十分ではないために、採用した外国人材の力が思う存分発揮できずに離職に至るケースもあります。 外国人材の受け入れを成功させるには、日本人の採用時以上に、彼らが働きやすい環境を整える努力が企業側にも必要です。 (参照元)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16279.html

採用方針の明確化

まずは外国人材に求めるスキルや人物像、採用後の業務内容や勤務地などを明らかにしましょう。 曖昧なイメージで外国人材を採用するとミスマッチが起こりやすく、早期離職に繋がってしまいます。 また外国人材が就労目的で在留するには、採用予定者の専攻や経歴が、業務内容と一致していることが条件となります。業務内容によっては在留資格が得られないこともあるため、その点も考慮しましょう。

採用計画の作成

どのような人材を求めているのか定まったら、求める外国人材へのアプローチ方法を検討しましょう。 例えば日本文化をある程度理解した若手人材を求めるのであれば、日本在住の留学生にアプローチする方法が主流です。一方日本で人材確保が難しくなりつつあるIT系の理系人材であれば、外国在住の人材を採用するのも一つの方法となります。 方法によって集まる人材には大きな違いが出ます。求める人材によっては外国人採用に強い人材紹介サービスやエージェントを利用するのもいいでしょう。

社内での意識共有

外国人を受け入れる土壌を社内に作ることも、外国人採用を成功に導くポイントです。採用前には少なくとも経営陣と採用担当部署、受入予定部署にて外国人材を受け入れる目的と役割の共有が必要です。 特に受入予定部署で働く社員にとって、外国人材との言語や文化の違いが業務上の大きな壁になることもあるでしょう。業務上のメリットやデメリットを知ったうえで、共に働く目的を理解することで、採用後の業務も円滑に進めることができます。 P.6-8  https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/hr/data/data.pdf

受け入れにあたっての社内書類準備

初めて外国人材を採用する場合は、マニュアルや就業規則、社内文書などの書類が日本語で、内容も日本人を対象に考えられたものであることがほとんどです。

書類の多言語化への考え方

日本語が堪能な採用予定者もいることから、すべての書類を英語や外国人材の母国語にする必要はありません。しかし日本語能力が十分ではない外国人材の場合、業務上必要な書類は母国語や英語で共有する、もしくは分かりやすい日本語で伝えるなどの配慮が必要です。

外部ツールの活用

採用者に伝える必要がある就業規則や労働に関する法律については専門用語も多く、会社が負担して翻訳するには難しいケースも多いでしょう。 厚生労働省のHPにて、労働基準法を分かりやすく説明したガイドブックや労働要件通知書のフォームが多言語で用意されています。既存のツールを使い社内の負担を極力減らしながら、必要な書類を整備していくことをおすすめします。 厚生労働省: https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/leaflet_kijun.html

(参照元) 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index.html https://www.mhlw.go.jp/content/000541699.pdf

必要な社内手続き

外国人材の入社時には、日本人採用の際と同様の手続きのほかに、外国人ならではの手続きもあります。

雇用契約の締結

雇用契約は会社と採用予定者双方が内容を合意する必要があります。内容の理解にすれ違いがあると後々のトラブルに繋がることも少なくありません。 また雇用契約には同意したとしても、雇用契約書を暗黙の了解で後回しにする、契約書なしで雇用する企業があるのも実情です。 しかし労働基準法では雇用契約を結ぶ場合、労働時間や賃金などの条件を書面などで明示することが会社に義務付けられています。 万が一雇用上の問題が起きた際に必要不可欠となるため、必ず書面もしくは電子メールなど保管できる状態で作成しましょう。就労資格が得られない場合や延長できない場合についても追記しておくと、トラブル防止につながります。 (参照元) 厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/index.html

在留資格の取得・更新

永住者や日本人の配偶者等であれば就労に制限はありませんが、基本的に外国人の雇用には在留資格が必要です。 海外から人材を呼び寄せる場合、受け入れ側の企業が採用者の代理人として在留資格の申請を行なうのが一般的です。 在留資格には期限があり、就労の場合必要に応じて3ヵ月~5年の期間で定められます。期限を過ぎた場合は不法就労となり雇用側にも罰則が設けられているため、取得後も更新を怠らないように注意しましょう。 (参照元) 厚生労働省https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/riyousha_mokuteki_menu/jigyounushi/13-01-19-4_test.html 厚生労働省P.16 https://www.mhlw.go.jp/content/000690017.pdf

健康保険や厚生年金

労働関係や社会保険関連の法令は、国籍に関わらず適用されます。 健康保険や厚生年金が適用になる雇用条件であれば、日本人の採用時と同様に手続きを行ないましょう。 厚生労働省 p.12 https://www.mhlw.go.jp/content/000690017.pdf

外国人雇用状況の届出

会社には、外国人材の受け入れおよび離職の際に、氏名や在留資格についてハローワークに届け出る義務があります。ただし、在留資格が「外交」・「公用」である場合、また「特別永住者」に関しては対象ではありません。 届出を怠ると30万円以下の罰金となる可能性があることに留意しましょう。 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page11.html https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/todokede/index.html

多国籍チームのマネジメント

外国人材を受け入れる部署では、外国人材と既存の社員の双方が働きやすい環境を整える必要があります。

基本は日本人社員と同様の扱い

同じ部署、チームの一員として、外国人材も他の社員と同様に必要な情報を共有しながら仕事を行なう必要があります。 しかし外国人材が部署で1人の場合は、同じ部署の社員がどう接していいのか、どのように仕事を任せればいいのか分からず、結果疎外感を与えてしまうこともあるでしょう。 例えば日本語の理解が不十分だと思われるために、仕事の内容を共有しない、ミーティングに呼ばないなどといった配慮は、外国人側からすると差別的に取られてしまうこともあります。 他の社員と同様に仕事を行なえるように、仕事内容をどこまで理解できているかを確認し、分かりやすい日本語で伝えるなどの努力がチームとして必要です。

文化的な価値観の違いを理解

仕事をするうえで国籍は関係ないとはいっても、日本ならではの慣習や文化による行き違いは避けられません。 例えば業務上の指示を出すとき、日本人は自然と相手の言葉の意図を汲むことが多いですが、国によっては明確にストレートな言葉で表現することが礼儀とされることもあるでしょう。 年功序列に重きを置く地域の人材の場合、年上の社員に意見を述べにくいこともあります。 根気のいる作業ですが、外国人材、日本人社員双方が相手の文化的背景を知り、対話を重ねながらすれ違いを極力減らしていくという意識が求められます。

フォロー体制の構築

外国人材をサポートする制度として、社内でメンター役を決めて助言や相談ができるシステムを作る方法もあります。メンター制度とは、新入社員や若手社員の育成のために、先輩社員が仕事やマナーを指導、助言を行なうものです。 業務内容だけではなく、人間関係や生活面での悩みなど幅広い相談になることで不安を解消し、コミュニケーションが密になることで組織力の向上も図れます。 (参照元) P.17-19 https://www.mhlw.go.jp/content/000541699.pdf https://www.hrpro.co.jp/glossary_detail.php?id=23

来日にあたってのサポート

外国人材のなかには、来日後に異文化での生活に不安を感じ、悩む人も少なくないでしょう。受入企業として、仕事以外にも慣れない日本での生活面のサポートも考えておきたいところです。

住居支援

来日にあたり欠かせないのが、住居です。しかし在日の外国人が増えているとはいえ、外国人の入居が制限されている物件も少なくありません。 さらに住居を借りるための賃貸契約や家賃保証サービス、火災保険などは、日本語が堪能な外国人材であっても難しく感じるものです。 採用予定者に希望の住まいをヒアリングしたうえで、会社が借り上げて住居を提供することも考えておきましょう。 インターネットやガス・電気などライフラインの契約も手助けや助言を行なうことで、外国人材の負担を減らすことができます。

家族支援

配偶者や子どもを連れて来日するケースは、家族が日本の生活で困らないようサポートすることも求められます。 外国人材に業務で存分に力を発揮してもらうには、家族の日本での生活の安定は欠かせません。 多くの自治体には外国人支援を行なう相談窓口やNPO団体が存在し、日本語教室や地域との繋がりをつくるイベントの開催、防災や就学に関する情報提供などを行なっています。 外国人材が住む地域に、在日外国人へのどのような支援体制があるのか、情報提供するだけでも大きなサポートとなるでしょう。

(参照元) P28.29 https://www.mhlw.go.jp/content/000541699.pdf

就業当初の注意点

日本における学びや仕事のやりがいを求めて来日している外国人材の気持ちに応え、受け入れ企業は彼らが働きやすい環境づくりを推進するべきです。外国人社員が安心して活き活きと働ける環境は、同時に日本人社員にとっても幸福度の高い環境だという意識が、共生社会の実現につながります。

「外国人雇用状況の届出」を提出する

すべての事業主は、外国人材(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)を雇用した時と、その人材が離職する時に、当該外国人材の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、届け出ることが義務付けられています。正社員・アルバイト・派遣社員のいずれも届け出が必要ですが、派遣社員に関しては届け出を行うのは雇用主である派遣元なので、派遣先の企業の対応は不要です。届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。

(参照元) 厚生労働省 外国人雇用対策 Employment Policy for Foreign Workers

日本語レベルを確認する

入社してくる外国人材と就業開始前にインターンシップやオンラインの定期的な面談をし、事前にしっかりとコミュニケーションがとれていない場合は、入社後に改めて日本語レベルを確認することをおすすめします。
日本語能力試験のN2やN3レベルに合格している人材でも、その後長期間日本語を使う環境にいなければ、実際の日本語運用能力は低下している可能性があります。また、それぞれの業種に独特な日本語のボキャブラリーを、入社前から十分身につけている人材は稀でしょう。
入社後、簡単な日本語テストなど通じて外国人材の日本語レベルを把握し、その習熟度に応じて、日本語学校への通学や社内における日本語学習などを手配すると、外国人材、受け入れ側の日本人社員双方にとってメリットが大きいと言えます。

外国人材をサポートできる外国人・日本人社員を見つける

言語・文化・気候など環境が異なる国から日本に来た外国人材は、日本のオフィス文化やビジネスマナーだけでなく、住まいや日常生活に関してもわからないことばかりです。社内に、日本での生活が長く、同様の不安や困りごとを経験してきた先輩外国人社員がいれば、そうした人材に来日したばかりの外国人材をサポートしてもらうことをおすすめします。社内に外国人材がいない場合は、海外の文化に理解の深い日本人社員にサポートの役割を担ってもらうと良いでしょう。
来日直後だけではなく、新たに雇用した外国人材が日本での生活に慣れるまで、公私に渡りサポートできるような信頼関係の構築が理想的です。

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